ウロリチンAは脳の血流を改善する?最新研究から
健康長寿を考えるうえで、最近注目されている成分のひとつが「ウロリチンA」です。2026年10月、米国オクラホマ大学の研究グループは、ウロリチンAの摂取が脳の血流や血管機能に及ぼす影響について、臨床研究の結果を医学誌『JAMA Network Open』に発表しました。
ウロリチンAとは?
ウロリチンAは、ザクロやクルミなどに含まれるポリフェノールが、腸内細菌によって代謝されることで作られる成分です。特に注目されているのが、細胞内の「ミトコンドリア」に対する働きです。ミトコンドリアは、細胞が活動するためのエネルギーを作る重要な器官ですが、加齢とともに機能が低下します。
ウロリチンAには、傷んだミトコンドリアを分解・除去する「マイトファジー」という仕組みを促進する作用があると考えられています。ただし、腸内細菌の構成には個人差があるため、誰もが十分なウロリチンAを体内で作れるわけではありません。
50人を対象とした臨床研究
今回の研究では、40〜64歳の肥満のある男女50人を対象に、ウロリチンAを1日1,000mg摂取するグループと、偽薬を摂取するグループに分け、4週間比較しました。研究では、腕の血管が広がる能力と、記憶力を使う課題に取り組んでいるときの脳の血流反応を調べました。
その結果、興味深い違いが見られました。まず、腕の血管を広げる働きについては、ウロリチンAによる明らかな改善は認められませんでした。一方、記憶力を使う課題を行っているときには、脳の血流に関連する反応が、偽薬グループと比較して有意に増加していました。ただし、記憶課題の正確さや反応速度そのものには、明らかな改善は認められませんでした。
脳の老化予防につながる?
今回の結果は、ウロリチンAが脳の血管反応に影響する可能性を示しています。しかし、研究対象は50人と少なく、摂取期間も4週間に限られています。また、認知機能の改善や認知症予防が確認されたわけではありません。したがって、現段階でウロリチンAを「脳の若返り成分」と断言することはできません。
それでも、ミトコンドリアの健康を維持することが、脳の働きや健康長寿につながるのではないかという研究の方向性は興味深いものです。今後、より大規模で長期間の研究によって、その効果が明らかになることが期待されます。
参考文献
da Costa Pinaffi-Langley AC, et al.
Urolithin A and Endothelial and Cerebrovascular Function in Middle-Aged Adults With Obesity: A Randomized Clinical Trial. JAMA Network Open. 2026;9(10).

