食品の「加工度」が体を変える

同じ300キロカロリーでも、体の反応は同じではない

「カロリーや糖質、脂質、タンパク質が同じなら、体への影響も同じ」と考えていないでしょうか。2026年10月、米国Virginia Techの研究グループが発表した最新の研究は、この常識に疑問を投げかけています。この研究では18~45歳の健康な成人57人を対象に、超加工食品(Ultra-processed food:UPF)と、加工度の低い食品を比較しました。

興味深いのは、2種類の食事を単に同じカロリーにしただけではない点です。どちらも300キロカロリーで、糖質、脂質、タンパク質、水分、塩分、さらには食事の重量まで、ほぼ同じになるよう調整されていました。つまり、栄養成分表示だけを見れば「ほぼ同じ食事」です。

ところが、実際に食べてもらうと、体の反応には明らかな違いが現れました。超加工食品を食べた後では、インスリンの分泌量がより多くなり、血糖値もやや長く高い状態が続きました。さらに、エネルギー消費量や糖質を燃料として利用する割合にも違いが認められました。研究者自身も「すべての代謝指標に違いが出たことに驚いた」と述べています。

さらに興味深いのが脳の反応です。参加者に食品の写真を見せながらfMRIで脳活動を調べたところ、食欲や報酬、動機づけに関係する腹側線条体や側坐核の反応にも、食品の加工度による違いが認められました。つまり食品加工は、単に血糖やインスリンだけでなく、「また食べたい」と感じる脳の仕組みにまで影響している可能性があります。

超加工食品というと、菓子類、清涼飲料水、加工肉、インスタント食品などが代表的です。これまでは、こうした食品が健康に好ましくない理由として「糖分や脂肪が多い」「食物繊維が少ない」ことが主に問題視されてきました。

しかし今回の研究は、栄養成分が同じでも、“どのように加工された食品なのか”によって体の反応が変わる可能性を示しています。もちろん、今回の研究は若く健康な成人を対象とした小規模研究であり、比較した食事も限定されています。加工食品そのものが病気を引き起こすと証明した研究ではありません。

それでも、「何キロカロリー食べたか」だけでは健康的な食事を評価できないことを示す重要な研究です。これからの食生活では、カロリーや糖質量を見るだけでなく、「できるだけ素材に近い食品を選ぶ」という視点が、ますます重要になってくるのかもしれません。

Hutelin Z, et al. Metabolic and neural responses to ultraprocessed foods: a randomized, controlled, crossover study. Nat Metab. 2026 Oct 5.

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