ピーナッツが脳の働きを改善する?

ピーナッツは、手軽に食べられる身近な食品です。良質な脂質やタンパク質、ビタミンE、ポリフェノールなどを含み、健康に役立つ食品として知られています。最近、このピーナッツが高齢者の脳の働きにも良い影響を与える可能性を示す、興味深い研究が発表されました。

毎日60gのピーナッツを16週間摂取

2026年10月、オランダのマーストリヒト大学の研究グループが、医学誌『Food & Function』に研究結果を報告しました。研究対象は、平均年齢67歳の高齢者31人です。参加者には、無塩で薄皮付きのローストピーナッツを毎日60g(大きさによって約60〜120粒)、16週間食べてもらいました。これは約350kcalに相当する、比較的多い量です。ピーナッツを食べない期間も設け、両者の結果を比較しました。

研究チームが注目したのは、脳の「インスリン応答性」です。インスリンは血糖値を調節するホルモンとして知られていますが、実は脳の中でも重要な働きをしています。記憶や学習、神経細胞の機能維持にも関係しているのです。研究では、鼻からインスリンを投与した後の脳血流の変化をMRIで測定しました。

その結果、ピーナッツを摂取した期間では、記憶に関係する海馬やその周辺を含む脳領域で、インスリンに対する血流応答に有意な変化が認められました。研究者らは、これを脳のインスリン応答性に対する好ましい変化と解釈しています。一方、血糖調節、血中脂質、炎症マーカー、肝臓の脂肪量には、明らかな変化は認められませんでした。

記憶力にも良い影響が?

実は、同じ研究グループは2025年にも、ピーナッツと脳機能について報告しています。この研究では、毎日60gのピーナッツを16週間摂取すると、脳全体の血流量が3.6%増加し、言葉を記憶して思い出す能力も5.8%改善しました。

今回の研究は、こうした記憶機能の改善に、脳のインスリン応答性の変化が関係している可能性を示したものです。ただし、今回の研究では認知症の予防効果が証明されたわけではありません。また、別の高齢者を対象とした研究では、ピーナッツによる明らかな認知機能の改善が認められなかったという報告もあります。

ピーナッツを上手に取り入れるには?

ピーナッツには、不飽和脂肪酸やビタミンE、ポリフェノールなどが含まれています。これらの成分が血管や神経細胞の健康維持に役立つ可能性があります。

ただし、ピーナッツ60gには約350kcalのエネルギーがあります。健康に良いからといって、食べ過ぎには注意が必要です。日常生活では、無塩のピーナッツを間食などに適量取り入れ、ほかの食品との栄養バランスを考えることが大切です。アレルギーのある方は摂取を避けてください。

身近な食品が脳の健康を支える可能性があることは、健康長寿を考えるうえで興味深い発見です。毎日の食生活を少し見直すことが、将来の脳の健康を守る第一歩になるかもしれません。


参考文献

  1. Kerkhof L, et al. Daily consumption of unsalted, skin-roasted peanuts beneficially affects regional brain insulin responsiveness in older adults: results of a longer-term randomized controlled trial. Food & Function.2026;17:9354–9364.
  2. Kerkhof L, Mensink RP, Plat J, Nijssen KMR, Joris PJ. Longer-term skin-roasted peanut consumption improves brain vascular function and memory: A randomized, single-blind, controlled crossover trial in healthy older adults. Clin Nutr. 2025 Dec;55:170-179.

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