私たちの健康に欠かせない「太陽の光」。日光を浴びると皮膚でビタミンDがつくられることはよく知られていますが、最近の研究から、太陽光にはそれ以外にも血糖値や糖尿病に関係する作用がある可能性が見えてきました。
2026年8月、英国エディンバラ大学などの研究グループが、英国の大規模健康データベース「UK Biobank」を用いた研究を発表しました。研究者らは、参加者が住んでいる地域の日光量、特に紫外線A波(UVA)と血糖値との関係を調べました。
その結果、冬には採血前2日間の日光量が多いほど血糖値が低く、7日間の日光量でも同じ傾向がみられました。春にも、過去7日間の日光量が多い人ほど血糖値が低いという関連が確認されました。
さらに興味深いのは、長期間の日光曝露と2型糖尿病との関係です。研究では、日焼けマシンやサンランプを利用する習慣を日光曝露の目安として解析しました。その結果、利用しない人と比べて、時々利用する人では2型糖尿病になる割合が約14%低く、頻繁に利用する人では約23%低いという関連が認められました。
では、なぜ太陽光が血糖値に関係するのでしょうか。
一般にはビタミンDの作用を思い浮かべます。しかし今回、血糖値との関連が特に強かったのは冬でした。英国の冬は紫外線B波(UVB)が少なく、皮膚でビタミンDを十分につくりにくい季節です。そこで研究者らが注目しているのが、「一酸化窒素(NO)」です。
皮膚には一酸化窒素に関連する物質が蓄えられており、紫外線を浴びることで放出されます。一酸化窒素には血管を広げる作用があるほか、血流を改善し、インスリンの分泌や効きやすさに影響する可能性も指摘されています。つまり、太陽光にはビタミンDを介さずに代謝を整える仕組みが存在するのかもしれません。
ただし、この研究は「日光を浴びれば糖尿病を予防できる」と証明したものではありません。また、日焼けマシンの使用には皮膚がんのリスクがあり、糖尿病予防のために利用することは勧められません。
大切なのは、太陽光を単に「ビタミンDをつくる光」と考えないことです。日中に適度に外へ出ることは、体内時計を整え、睡眠や運動習慣にも良い影響を与えます。これからの予防医学では、「何を食べるか」「どれだけ運動するか」に加えて、「どのように光を浴びるか」も重要な健康習慣になるかもしれません。
Stevenson, A. C., Weller, R. B., Lindqvist, P., & Dibben, C. (2026). Sunlight exposure is associated with lower blood glucose levels and type 2 diabetes. Scientific Reports.

