卵を食べるとアルツハイマー病を予防できる?

「卵を食べるとアルツハイマー病を予防できる」というニュースが注目されています。これは本当なのでしょうか。

2026年に『The Journal of Nutrition』に掲載された研究では、米国の39,498人(平均64歳)を平均15.3年間追跡しました。その間に7.2%にあたる2,858人がアルツハイマー病と診断されています。

卵をほとんど食べない人と比べたところ、アルツハイマー病と診断される割合は、卵を月1~3回または週1回食べる人で約17%、週2~4回で約20%、週5回以上で約27%低いという結果でした。年齢や運動、喫煙、飲酒、ほかの食品、持病などの影響を統計的に調整しても、この関連は残りました。

卵には、神経伝達物質の材料となるコリンをはじめ、ルテイン、ゼアキサンチンのような抗酸化作用を持つ色素や、良質なタンパク質などが含まれています。そのため、卵の栄養素が脳の健康を支える可能性は十分にあります。

ただし、この研究だけで「卵を食べればアルツハイマー病を予防できる」とは結論づけられません。参加者に卵を食べてもらう実験ではなく、普段の食生活と、その後の診断との関係を調べた観察研究だからです。卵を食べる人には、研究で捉えきれなかった生活習慣や健康状態の違いがあった可能性もあります。

また、「27%低い」という数字は相対的な比較です。卵を食べれば100人中27人が発症を免れる、という意味ではありません。食事調査が主に研究開始時に行われたこと、アルツハイマー病の判定に医療保険の請求記録が使われたこと、健康意識の高い特殊な集団を対象としていることも本研究の限界です。

今回の研究から言えるのは、「適度に卵を食べていた人では、アルツハイマー病の診断が少なかった」というところまでです。卵は栄養価の高い食品なので、健康上の制限がなければ、バランスのよい食事に取り入れてよいでしょう。ただし、予防のために無理に摂取量を増やす根拠はまだ不十分です。

一方、卵アレルギーがある人は、予防効果を期待して無理に卵を食べてはいけません。食後にじんましん、唇や喉の腫れ、せき、息苦しさ、嘔吐などが現れた場合は摂取を中止し、医療機関に相談してください。呼吸困難や意識の異常など重い症状がある場合は、アナフィラキシーの可能性があるため、直ちに救急要請が必要です。

認知症対策では、卵だけに期待するより、運動、禁煙、十分な睡眠、血圧や糖尿病の管理、人との交流などを組み合わせることが大切です。

Oh J, et al. Egg intake and the incidence of Alzheimer’s disease in the Adventist Health Study 2 cohort linked with Medicare data. J Nutr. 2026;156:101541.

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