幼少期の「糖分のとり過ぎ」が将来の認知症リスクに関係する?
「甘いものは食べ過ぎないように」とよく言われますが、その影響は大人になってからだけではないかもしれません。最近の研究で、妊娠中から2歳頃までの「人生最初の1,000日間」の糖分摂取が、将来の脳の健康に深く関わる可能性が報告されました。
研究では、第二次世界大戦後のイギリスで行われていた砂糖の配給制度を利用し、約6万人の健康データを解析しました。その結果、幼少期に砂糖の摂取量が比較的少なかった人は、そうでない人に比べてアルツハイマー病の発症リスクが約46%低く、認知症全体のリスクも約27%低いことがわかりました。また、不安やうつ病の発症も少ない傾向がみられました。
さらに、一部の参加者のMRI画像を調べたところ、幼少期の糖分摂取が少なかった人では、記憶をつかさどる「海馬」などの脳の構造がより良好に保たれ、脳年齢もわずかに若い状態であることが示されました。
なぜ糖分が脳に影響するのでしょうか。糖分を過剰に摂取すると、血糖値の急上昇を繰り返しやすくなり、インスリンの働きが低下したり、慢性的な炎症や酸化ストレス、糖化(AGEs)の蓄積が進んだりすると考えられています。こうした変化は、脳の老化を促進する一因になる可能性があります。
もちろん、この研究だけで「子どもの頃に砂糖を控えれば認知症を防げる」と断定することはできません。しかし、妊娠中や乳幼児期の栄養が、その後の健康に長く影響するという「DOHaD(健康と病気の発達起源説)」を支持する重要な研究といえるでしょう。
甘いお菓子やジュースを完全に禁止する必要はありませんが、毎日の習慣として糖分をとり過ぎないことは、肥満や糖尿病の予防だけでなく、将来の脳の健康への“先行投資”になるかもしれません。子どもの健やかな成長のためにも、自然な食材を中心としたバランスのよい食生活を心がけたいものです。
Xingji Lian et al, Early-life sugar rationing, brain aging, and long-term neurodegenerative and psychiatric health outcomes: a population-based natural experiment study, npj Aging (2026). DOI: 10.1038/s41514-026-00452-z

