DHEAの健康効果

DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)は、副腎皮質から分泌されるホルモンの一種です。DHEAは、エストロゲンやテストステロンなどの他の性ホルモンの前駆体となる役割を果たしており、さまざまな健康効果が期待されています。抗加齢医学の領域では、血中DHEA濃度が高い人は健康長寿になる確率が高いという仮説もあるほどです。ちなみに魚に含まれるオメガ3脂肪酸はDHA(ドコサヘキサエン酸)であり、名前は似ていますが、全く異なる栄養素です。

DHEAはコレステロールを原料として作られていますので、コレステロールを医薬品によって下げている場合には、DHEAを十分に産生できなくなるリスクがあります。一方、DHEAを増やすための食品として、自然薯や里芋などがあります。これらの食品には、ディオスゲニン(diosgenin)と呼ばれる成分が含まれており、人体内でDHEAを増やす働きがあることが確認されています。

日本でも自然薯や里芋を食べると元気になるという言い伝えがありますが、経験的にこれらの食材が健康増進作用があることが知られていたのだと思います。漢方薬にも「山薬」という成分がありますが、これは自然薯をさします。

DHEAの持つ健康効果は医科学の世界でも広く研究されています。以下に、DHEAの一般的な健康効果について説明します。

  1. 骨密度の向上: DHEAは骨形成を促進する働きがあり、骨密度の低下や骨粗鬆症の予防に役立つとされています。伝統的なポリネシアンはタロ芋を主食としていることが多いですが、彼らはディオスゲニンを含むタロ芋を食べると骨が強くなることを経験的に知っているようです。
  2. 筋力の増強: DHEAは筋肉の成長や修復に関与するとされており、筋力の増強や筋肉量の増加に寄与する可能性があります。一部の研究では、DHEAのサプリメント摂取が筋力トレーニングの効果を強化することが示されています。
  3. 免疫機能の改善: DHEAは免疫システムに関与し、免疫機能の改善に寄与する可能性があります。特に、免疫老化に伴う免疫力の低下に対して有益であると考えられています。
  4. エネルギーと抗ストレス効果: DHEAはエネルギー産生に関与し、ストレスに対する抵抗力を高める効果があるとされています。ストレスの軽減や疲労回復に対して良い影響を与える可能性があります。
  5. 心血管保護: DHEAは血管の健康を維持する役割があり、心血管疾患の予防に関与する可能性があります。ある研究報告では、DHEAには閉経後女性の心臓血管死亡率を低下させる働きがあることが確認されています。

DHEAが十分にあるか否かは、血液中のDHEA-Sという成分を調べると明らかになります。不足傾向がある場合には、サプリメントによる補充もできますので、専門の医師にご相談されることをお勧めします。

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