亜鉛とCOVID-19 その2

COVID-19陽性患者に対して亜鉛を投与すると、COVID-19による死亡率や重症化を軽減できるという研究報告が出ました。この研究は、他施設が参加した前向き二重盲検法によるものであり、臨床研究としては最も信頼性のおける内容です。

COVID-19陽性患者470名を、亜鉛服用群231名と対照群239名に分けて経過を観察しています。亜鉛服用群では、15日間、25mgの亜鉛を一日2回服用し、対照群では偽薬が投与されています。470名の内訳は、救急搬送された外来患者は190名、入院患者は280名でした。

その結果は以下のように、亜鉛群では、30日後の死亡率やICU入室率が低い傾向がみられました。死亡率については30%減少、重症化してICUに入室した率は50%以上の減少でした。さらに入院日数も亜鉛服用群では、対照群と比較して平均3.5日短縮されていました。亜鉛服用者で、特筆すべき副作用の報告はなかったということです。

Zinc:亜鉛服用群、Placebo:対照群、OR:Odds Ratio オッズ比

以上の結果から亜鉛服用はCOVID-19陽性患者にとって、病態の重症化を防ぐ有効な治療方法であると著者らは述べています。

亜鉛は、細胞分裂する際に欠かすことのできない重要なミネラルです。粘膜や皮膚を良好な状態に保つ働きをしているだけでなく、免疫機能の維持にも重要な働きをしています。さらには、SODという抗酸化酵素の活性にも関与しており、細胞を酸化ストレスから守ってくれる働きがあります。

コロナの時代となり、亜鉛と免疫機能との関係も再注目されるようになって来ました。現代人に不足しやすいミネラルの代表とも言える亜鉛。高齢者では血中濃度を調べた上で適正量を補充することがおすすめです。

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