キレーション治療:70年の歴史

6月9日から11日まで、第23回日本抗加齢医学会総会が開かれます。
満尾正は、10日土曜日、シンポジウム16にて、EDTA キレーション治療について講演する予定です。

EDTAキレーション治療(EDTA chelation therapy)とは、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)と呼ばれるキレート剤を使用して、血液中の不要な金属イオンを結合し排出する治療法です。この治療法は、主に重金属中毒や動脈硬化症などの特定の疾患の補完的な治療として使用されています。

EDTAはキレート剤として働き、金属イオンと強力な結合を形成します。EDTAは点滴で体内に投与され、血液中の不要で有害な金属イオン(例:鉛、水銀、カドミウムなど)と結合します。結合した金属イオンとEDTAの複合体は、主に腎臓から尿中へ排泄されます。

1950年代に米国で始まったキレーション治療は、70年以上の歴史を持つことになります。しかし2000年になるまでは、正当な評価を受けていないだけでなく、一部の医師からは偽物医療と非難されるようなこともありました。こうした背景の中、キレーション治療の効果を検証するための臨床試験、TACT study が、30億円という高額の研究費を投じて、米国の政府機関であるNCCAMによって2003年から始められました。

この結果は2013年に医学論文として公表され、キレーション治療には心筋梗塞再発予防効果があることが報告されました。この研究成果によって、キレーション治療はようやく正当な評価を受けられるようになりました。医学の概念が変化するためには、多くの年月がかかるということの見本のようなものです。

その後、糖尿病患者を対象とした第2次の臨床試験、TACT2が2017年からが開始され、その結果は来年に報告される予定とのことです。第2次の臨床試験では、Harvard大学やDuke大学、NIHの研究部門などが研究に参加しており、より専門的な解析が行われることが期待されています。

当院は、2002年以来、キレーション治療を柱とした抗加齢医療に取り組んできましたが、早いもので20年以上の年月が過ぎました。安全で効果的な治療法であるキレーション治療が、日本においても広く認識されることを願います。詳細については、日本キレーション協会のサイトをご覧ください。

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