ローヤルゼリーと免疫機能

COVID-19感染症では、高齢者の死亡率が高いことが知られています。これは、免疫老化と呼ばれる、加齢に伴う免疫機能の低下が原因と考えられます。抗加齢医療では、免疫老化を少しでも防ぐことが大きなテーマです。免疫機能をサポートする食品には様々なものがありますが、古代から知られている代表的なものにロイヤルゼリーがあります。

ローヤルゼリーは女王蜂を育てるための特殊な栄養です。働き蜂の寿命はわずか45日ですが、ローヤルゼリーで育てられた女王蜂は、毎日2000個ほどの卵を産み続けながら5年も生き続けます。働き蜂と女王蜂の寿命を比較すると、なんと40倍の差があります。どちらも同じ卵から生まれた蜂ですので、この大きな違いは、食事として与えられたローヤルゼリーに隠されています。

ローヤルゼリーに含まれる栄養素と免疫機能との関係についての研究も数多くあります。最近の研究では、免疫機能に関与する代表的な細胞である、末梢血単核球細胞(PBMCs)の働きがローヤルゼリーによって改善されていることが報告されています。

この研究では、高齢者の血液を採取してPBMCsを分離し、ローヤルゼリーを添加した場合としない場合とで免疫細胞の働きの比較を行っています。その結果、ローヤルゼリーを添加した場合には、細胞の分化が有意に進んだほか、一酸化窒素やサイトカインと呼ばれる免疫細胞から放出される物質の量も増えたことが確認されています。これはローヤルゼリーに免疫老化を改善する働きがあることを示唆する現象です。

また他の研究では、ローヤルゼリーに含まれるタンパク質、MRJP2 とMRJP2 X1 には、COVID-19の原因ウィルスであるSARS-CoV-2の働きを阻害する可能性があることが報告されています。

私の父は生前、趣味の養蜂を行っていました。子供の頃、手伝いに行って蜂に刺された思い出がありますが、巣箱からほんのわずかしか取れないローヤルゼリーを父が集めていたことをよく覚えています。その味は蜂蜜のような甘さはなく、決して美味しいものではありません。しかし、ローヤルゼリーの効用は、日本でも古くから知られていたようです。

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