がんサバイバーの寿命と「カロテノイド」の関係


〜野菜や果物の色素が健康長寿を支える可能性〜

近年、「がんと診断された後、どのような生活を送ることで健康寿命を延ばせるのか」に注目が集まっています。そんな中、2025年に発表された研究で、血液中のカロテノイド濃度が高いがんサバイバーほど、死亡率が低い可能性が報告されました。

カロテノイドとは、ニンジンのオレンジ色、トマトの赤色、ほうれん草の緑色など、野菜や果物に含まれる天然色素です。代表的なものに、β-カロテン、リコピン、ルテイン、ゼアキサンチンなどがあります。これらは強い抗酸化作用を持ち、細胞の老化や炎症を抑える働きがあると考えられています。

今回の研究では、米国の1,816人のがんサバイバーを対象に、血液中のカロテノイド濃度と死亡率との関係が調べられました。追跡期間は約15年という長期間です。その結果、α-カロテン、β-カロテン、リコピン、ルテイン/ゼアキサンチンの血中濃度が高い人ほど、全死亡率が有意に低いことがわかりました。

興味深いのは、この関連性が年齢、喫煙、肥満、腎機能、既往症、サプリメント使用などを調整した後でも認められた点です。つまり、「単に健康的な人だから長生きした」というだけでは説明できない可能性があります。

ただし、この研究は観察研究であり、「カロテノイドを摂れば寿命が延びる」と断定できるわけではありません。むしろ、日頃から野菜や果物をしっかり摂取している人は、全体的な生活習慣が良好であることを反映している可能性があります。

実際、カロテノイドを豊富に含む食品には、ビタミン、ミネラル、食物繊維、ポリフェノールなども多く含まれています。特定のサプリメントだけに頼るのではなく、「彩り豊かな食事」を心がけることが重要です。

例えば、
・トマト(リコピン)
・ニンジン、カボチャ(β-カロテン)
・ほうれん草、ケール(ルテイン)
・赤ピーマン、柿
などを日常的に取り入れることは、健康維持に役立つ可能性があります。

がん治療後は、「再発予防」だけでなく、「元気に長く生きること」が大切なテーマになります。今回の研究は、食生活の質が長期的な健康に大きく関わっていることを改めて示したと言えるでしょう。

出典:
Clinical Nutrition ESPEN. 2025;70:165-173.
Han J, et al. Associations of serum carotenoid concentrations with all-cause mortality in cancer survivors.

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