年齢を重ねると、インフルエンザや新型コロナなどのワクチンを接種しても、若い頃ほど十分な免疫が得られないことがあります。これは「免疫老化」と呼ばれ、加齢によって免疫細胞の働きが低下するためです。
最近、英国オックスフォード大学の研究グループが、天然成分「スペルミジン」が高齢者のワクチン効果を高める可能性を報告しました。
スペルミジンは、私たちの体内にも存在する天然の物質で、小麦胚芽、きのこ類、ブロッコリー、納豆、豆類などに多く含まれています。近年、この成分には細胞の老廃物を取り除く「オートファジー(細胞の掃除機能)」を活性化する作用があることがわかり、アンチエイジング分野でも注目されています。
今回の研究では、65歳以上の健康な高齢者を対象に、スペルミジンを13週間摂取してもらい、その後のワクチンに対する免疫反応を調べました。その結果、一部の「ワクチン低反応者」では、抗体の増加や免疫細胞の機能改善が認められたのです。
特に注目されるのは、スペルミジンによって免疫細胞の老化が改善し、複数の新型コロナウイルス変異株に対する防御力も高まった点です。研究者らは、「免疫細胞の若返り」がワクチン効果を高める鍵になる可能性があると考えています。
もちろん、この研究はまだ小規模であり、現時点で「スペルミジンのサプリメントを飲めばワクチン効果が上がる」と断言できる段階ではありません。しかし、高齢者の免疫機能を維持する新しいアプローチとして、大きな期待が寄せられています。
日頃から、野菜や豆類、きのこ類などをバランスよく食べ、適度な運動や十分な睡眠を心がけることは、免疫力を保つうえで重要です。将来、こうした栄養成分を活用した「免疫のアンチエイジング」が、健康長寿を支える新たな選択肢になるかもしれません。
Ghada Alsaleh et al, Spermidine Mitigates Immune Cell Senescence and Boosts Vaccine Responses in Healthy Older Adults—A Pilot Study, Aging Cell (2026). DOI: 10.1111/acel.70545

