キレーション治療とは

第16回日本抗加齢医学会総会の招待講演者として来日されるLamas先生は、アメリカの心臓専門医の間で大きな話題となった臨床試験(TACT Study)の統括責任者です。

TACT studyは、米国国立衛生研究所(NIH)の統合医療部門が約30億円の研究費用を投じて行ったキレーション治療の効果についての臨床試験です。今回の招待講演では、 「心臓病を癒すキレーション治療;環境汚染物質、除去、健康長寿」 というタイトルでの講演が予定されています。

TACT study の目的は、キレーション治療に心筋梗塞再発予防効果があるか否かを検証することでした。2003年から5年計画で始まりましたが、症例数が足りないためにさらに5年間の延長を経て2012年まで行われました。その結果は大方の心臓内科医の予想に反して、キレーション治療には心筋梗塞再発予防効果があるというもので、大きな話題となりました。特に糖尿病患者では、死亡率が約半分に減ってしまうという衝撃的な結果が公表されています。

キレーション治療とは、アミノ酸の一種であるEDTA(Ethylene Diamine Tetra acetic Acid)をビタミン、ミネラルとともに繰り返し点滴する治療法です。EDTAは1930年代に初めて合成されたアミノ酸ですが、その目的は鉛やカドミウムなどの有害金属を体外へ排泄を促進することにありました。1950年代からは、鉛中毒患者に対する治療として人間に対しての臨床使用が始まっています。

当院では、2002年からキレーション治療による動脈硬化治療を行っていますが、その効果は極めて大きなものです。動脈硬化の客観的な指標である脈波伝播速度がキレーション治療を行うことによって有意に低下することを確認しています。

米国の臨床試験は心筋梗塞再発予防効果についての研究でしたが、今後は心筋梗塞の発症予防や動脈硬化予防効果についての研究が行われようとしています。 キレーション治療のように、安全、効果的、そして経済的な治療方法がようやく正当な評価を受ける時代になりました。これまでのように、医薬品や手術中心の医療から栄養学を基盤とした全体的な医療へと変化が起きつつあります。

キレーション治療についての詳細はhttp://chelation.jpをご覧ください。

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