有害金属と健康障害

2025年6月15日、日本抗加齢医学会総会で有害金属と健康障害というタイトルで講演を行いました。

私たちの身のまわりには、鉛、水銀、カドミウム、ヒ素、といった「有害金属」が存在しています。これらは工業排水、大気汚染、農薬、タバコ、食品添加物、輸入食材、さらには歯の詰め物(アマルガム)などを通じて、気づかないうちに私たちの体内に取り込まれていきます。

体にとって必要なミネラル(金属)もありますが、有害金属は人の代謝に悪影響を及ぼす「異物」です。たとえば鉛は脳の発達を阻害し、子どもの学習障害や注意欠如を引き起こすことがあります。水銀は神経や腎臓にダメージを与え、自閉症や慢性疲労、うつ症状の一因とも考えられています。カドミウムは骨や腎臓に蓄積しやすく、骨粗しょう症や腎機能低下と関連づけられています。

有害金属の多くは、細胞内の酵素やタンパク質に強く結合し、体内に長期間残留します。また、症状があらわれるまでに数年から数十年かかることもあるため、「原因不明の不調」として見過ごされやすいのです。

有害金属による健康障害を予防するには、まず「取り込まないこと」が大切です。水道水や食材の安全性を見直すこと、加工食品を控えること、室内の空気環境を整えることが基本です。そして、体内に入ってしまった金属を「デトックス(排出)」する方法として、キレーション療法や食物繊維、抗酸化物質の摂取などが注目されています。

慢性的なだるさ、頭痛、肌荒れ、集中力の低下など、原因がはっきりしない体調不良が続く場合、体内に蓄積した有害金属が関係している可能性もあります。当院では、有害金属による健康への影響を評価するための検査を行っております。ご自身の体に「見えない負担」がかかっていないか、一度チェックしてみることをおすすめします。

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