魚脂(EPA/DHA)と脳の健康

脳の健康にとって欠かすことのできない栄養素として、アラキドン酸(ARA)とドコサヘキサエン酸(DHA)という長鎖多価不飽和脂肪酸があります。ARAはオメガ6系脂肪酸、DHAはオメガ3系脂肪酸に分類されますが、これらの長鎖脂肪酸を含む食事摂取は、学習・記憶、神経炎症プロセス、シナプス可塑性、神経新生などに良い影響を与えることが示されています。

現代人の食生活では、オメガ6系脂肪酸の一種であるARAは十分にとれているようですが、オメガ3系脂肪酸であるDHAの摂取が不足気味の方が増えてきているようです。これは、言うまでもなく食事の西欧化の影響であり、昭和の中頃に見られた典型的な和食のスタイルが徐々に減ってきた結果、魚を食べる機会が減ってしまったことを意味します。

最新の研究では、DHAやエイコサペンタエン酸(EPA)などのオメガ3系脂肪酸が、人間の健康維持には欠かすことのできないエンドカンナビノイドシステム(ECS)の働きを維持していることが、明らかにされています。オメガ6系脂肪酸のARAもECSを維持する上では大切な栄養素ですが、過剰なARAは炎症を起こしやすくするリスクもあるため、オメガ3系脂肪酸の摂取が重要となります。

エンドカンナビノイドシステムとは、大麻の薬効成分であるCBDオイルの研究から明らかになったもので、人間の健康を維持するために欠かすことのできない、体内のバランサーのようなシステムです。このシステムが機能しなくなると、様々な体調の変調が起きやすくなるとされています。

エンドカンナビノイドシステムを維持する上で欠かせない、魚の脂肪酸が足りているのか否かは、血液検査で確認ができます。典型的な和食中心の食生活を送っている方では、ARAとEPAの比率、ARA/EPAが、2を超えない範囲になっているはずです。最近肉ばかりの食生活だなと感じている方は、是非血液検査をして確認されることをお勧めします。

認知症の真の原因はゆっくりと進行する慢性炎症とされています。炎症を促進させるものを減らし、炎症を抑える栄養素を積極的に摂取することは、脳の健康を守り、認知症の予防にも繋がるものです。オメガ3系脂肪酸を多く含む魚、中でもイワシやサバなどの青魚、また鮭などを週に3日は食事のおかずとして摂取したいものです。

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