亜鉛とCOVID-19

新型コロナ感染患者数や死者数も峠を越えようとしています。しかしこの時期は一年で最も感染症が増える時期でもあります。感染予防対策はこれまで以上に気をつけたいものです。対策の一つに亜鉛の補充があります。以前のブログでもご紹介したように、血中亜鉛濃度が低下するとCOVID-19感染率が上がることが報告されています。

2023年1月発表された最新の論文では、COVID-19感染者と健常者の亜鉛血中濃度を比較していますが、感染者では亜鉛血中濃度が約30%も低下していました。さらに亜鉛濃度が低いほど炎症性マーカーの値が増加する傾向もあり、血中亜鉛濃度が低いほど、重症化しやすいことがわかりました。

「鉛」という文字を含むためか、「亜鉛」と聞くと有害金属と誤解している方もおられますが、亜鉛は正真正銘の必須ミネラルです。生命活動の基盤とも言える細胞分裂は、亜鉛が無いと始まりません。脳神経の働き、視力、皮膚や粘膜、前立腺や副腎機能など、亜鉛は人間が生きてゆく上で欠かすことのできない存在です。高齢者でよくみられる、皮膚の痒みや、舌が痛む「舌痛症」は、亜鉛欠乏でみられる代表的な症状です。

亜鉛を多く含む食材は、下図に示すように、牡蠣などの貝類です。しかし残念なことに現代人の食生活では、十分な亜鉛の補給をすることが難しい状況です。

亜鉛を多く含む食材のランキング文部科学省 食品成分データベースより

さらに、度々お伝えしているように、亜鉛の血中濃度は加齢とともに減少してしまいますので、60歳以上の方はサプリメントの形で積極的に亜鉛の補給をすることをお勧めします。できれば一年に一回は血中亜鉛濃度の測定を行い、適正にあるか否かの判断をされることが必要です。

男性は50歳から、女性は70歳から、血中亜鉛が減少する傾向がある
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