水銀のリスク

水銀摂取がALS(筋萎縮性脊索硬化症)発症に繋がる可能性が、米国神経学会雑誌に報告されています。

今回の研究は、魚に含まれる水銀の摂取量とALSとの関係を解明するために、ALS患者 294名と非ALS患者224名、合計518名について調べています。

水銀摂取量に従って対象を4群に分けたところ、摂取量が最も多いと推測できる群(M-1)では、最も少ない群と比較して、ALSに罹患する率が2倍と高値でした。また全ALS患者の61%がM-1に含まれていました。爪に含まれる水銀濃度も調べていますが、爪の水銀濃度とALSの発症率との間にも正の相関が見られました。

筆者らは、魚を食べることを否定しているわけではありません。しかし小魚を捕食して長年生きている大型魚には水銀が多く含まれます。このため水銀を多く含む魚の摂取に対しては警鐘を鳴らしています。

鮭はプランクトンや藻を餌としているため水銀の影響が少ない魚です。サンマヤイワシなどは、生存期間が短いこともあり水銀は多く含まれていません。オメガ3脂肪酸摂取の効用を考えればこれらの魚を積極的に摂取すべきと述べています。

熊本大学の資料によれば、大西洋のマグロに含まれる水銀量は減少傾向にあるようですが、アジア、特に日本近海の海洋汚染は深刻な状況です。マグロ過食に対して警鐘を鳴らす新聞記事もあります。世界的に見ても出産可能年齢の女性 42%に基準値越えの毛髪中の水銀濃度が確認されています

水銀は神経細胞に対して障害を与えることが基礎実験でも証明されている代表的な神経毒です。育ち盛りの子供達や妊産婦にとってはありがたくない有害金属です。次世代の健康を守るためにも水銀摂取には気をつけたいものです。

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