母乳中のビタミンD

乳児は母乳で育てるべきだと考える方も多いのではないでしょうか。しかし、母乳で育てられた乳児の血中ビタミンD濃度が、人工乳で育てられた乳児のそれよりも低いことが報告されています。そのために、乳児の骨形成が障害されてしまう「くる病」が増えているという、実にショッキングな情報もあります。なぜこのようなことが起きてしまうのでしょうか。

血中ビタミンD濃度を上げるには、ふたつの方法があります。日光にあたるか、魚を食べるかです。妊娠可能年齢の女性は、このふたつの条件が極めて乏しい傾向にあります。紫外線を過度に避ける、魚離れの現代食によって、女性の身体では、異常なほどのビタミンD欠乏がおきています。

この結果、母乳中のビタミンD濃度も、極端に低い状態になってしまいました。欧米では、ビタミンDの重要性について10年以上前から広く知られているため、ビタミンDを添加したミルクやオレンジジュースが市販されており、ビタミンD不足によっておきる問題を少しでも軽減しようと努めています。残念ながら、わが国では対策が遅れています。

ビタミンDの本質は、「ビタミン」という呼び名とは異なり、副腎皮質ホルモンと同様のホルモン様物質と言っても過言ではありません。それだけ重要な働きをしています。骨を作るだけでなく、免疫力増強、認知症予防、うつ病の予防、糖尿病予防など、ビタミンDの守備範囲は極めて広いものです。

少子高齢化の時代、乳幼児の健康レベルを維持するためにも、これから母親になる女性は、ビタミンDを積極的に補ってほしいものです。ビタミンD単体のサプリメントは比較的安価で入手できます。最低でも1日あたり、(ビタミンD3として)1000 IU (25 μg)、できれば 2000~3000 IU (50~75μg)サプリメントとして補充することをお勧めします。

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