腎臓を守る食事とは

11月16日(日)は、満尾正が主催するキレーション治療セミナーの応用編がオンラインで開催されました。今年の講師と講演タイトルは以下のようなものでした。本日は、黒尾先生のご講演とも深く関連する腎臓を守る食事内容についてお伝えします。

慢性腎臓病(CKD)は、日本人の8人に1人が抱えると言われる身近な病気です。高血圧、糖尿病、加齢などが原因になり、知らないうちに進行してしまうことが特徴です。近年、このCKDを予防する方法として注目されているのが「植物性食品を中心にした食事(Plant-Based Diet:PBD)」です。

2023年に発表された大規模なメタ解析研究(複数研究を統合した統計解析)では、12万人以上を平均11年間追跡した結果、PBD を採用した人は CKD 発症リスクが26%低かった ことが報告されました。

PBDとは、野菜・果物・豆類・穀類・ナッツなどを中心に食べ、動物性食品は控えめにする食事スタイルのこと。完全な菜食でなくても、「植物性食品の割合を増やす」だけで効果が得られる可能性があるのがポイントです。

研究では、PBDの“摂取量が多いほどリスクが下がる”という 事実が確認されています。五分位や四分位解析では、最も摂取量が少ないグループと比べ、上位のグループでは CKD リスクが8〜14%低下。これは「少し多めに植物性食品を選ぶ」だけでも腎臓に良い影響があることを示唆しています。

植物性の食事が腎臓を守る理由としては、

  • リンや硫酸など腎臓に負担となる“酸負荷”が少ない
  • 血圧・血糖・体重の改善につながりやすい
  • 抗酸化作用・抗炎症作用のある栄養素が豊富
    といった複数のメカニズムが考えられています。

ただし注意点もあります。加工食品中心の不健康な植物性食では腎臓保護効果は得られず、「野菜・果物・豆・全粒穀物を中心にした健康的なPBD」であることが重要です。

腎臓病は一度進むと元に戻りにくい病気ですが、日常の食習慣でリスクを下げることは可能です。
“完全なベジタリアンになる必要はありません”。
まずは

  • 野菜をもう一皿
  • 白米を雑穀米に少し変える
  • 肉中心のメニューに豆やきのこを追加
    といった小さな工夫から始めてみるのも良いでしょう。

腎臓を守る食生活は、血圧・血糖・体重管理にも役立ち、全身の老化予防にもつながります。今日の食卓から、少しずつ植物性食品を増やしてみてはいかがでしょうか。

Dang Z, He Y, Xie R, Chen P, Dong F. Plant-Based Diet and Chronic Kidney Disease: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Ren Nutr. 2025 Jul;35(4):517-530. doi: 10.1053/j.jrn.2025.03.002.

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