女性は閉経を迎えると、女性ホルモンの分泌が減少し、骨粗鬆症や動脈硬化といった健康リスクが高まることが知られています。特に血管のしなやかさが失われる「血管硬化」は、高血圧や心筋梗塞、脳梗塞といった重大な病気につながるため、予防が大切です。最近、ビタミンK2の一種であるメナキノン-7(MK-7)が、この血管の硬さを改善する可能性があることが報告されました。
研究の概要
オランダで行われた臨床試験(Nutrients誌 2025年2月発表)では、ビタミンKの状態が低い女性165人を対象に、毎日180µgのMK-7を1年間摂取したグループと、偽薬(プラセボ)を摂取したグループとを比較しました。参加者は閉経前、閉経移行期、閉経後の3つのグループに分けられ、血管の状態が前後で詳しく測定されました。
主な結果
- ビタミンKの状態が改善
MK-7を摂取した女性は、血液検査の指標が明らかに改善しました。 - 閉経後女性で血管の硬さが有意に改善
閉経後女性はもともと血管の状態が悪化していましたが、MK-7を摂取した群ではプラセボ群に比べ、血管の硬さが大きく改善しました。 - 血管硬化が強い女性ほど効果が大きい
特に「血管の硬さが強い」閉経後女性では、MK-7を摂取することで上腕動脈の血圧が低下し、血管の弾力性も改善しました。
ビタミンK2とは?
ビタミンKといえば「血液を固める働き」で知られていますが、近年は骨や血管の健康にも深く関わることが明らかになっています。中でもMK-7は納豆などに多く含まれる成分で、体内で長く働くことが特徴です。
この研究は、閉経後女性にとってMK-7が血管の健康を守る可能性を示すものです。特に血管硬化が進んでいる方ほど恩恵を受けやすいと考えられます。ただし、これはあくまで1年間の臨床試験に基づく結果であり、今後さらなる研究が必要です。
普段の食事で納豆や発酵食品を取り入れることはもちろん、必要に応じてサプリメントを活用するのも一つの選択肢かもしれません。血管のしなやかさを保つことは、健康寿命を延ばすうえでとても大切なポイントです。