私たちが普段口にする食事は、体の健康だけでなく心の健康にも大きな影響を与えていることをご存じでしょうか。最近オーストラリアで行われた大規模調査から、野菜や果物をたっぷり食べることが、心の健康を守る可能性があることが分かってきました。
この調査は45,000人以上の人を対象にしたもので、うつ症状や不安、ストレスといった「心理的苦痛」と食事内容の関係を詳しく分析しました。その結果、野菜の摂取量が多い人ほど、心の不調を感じにくい傾向があることが明らかになったのです。
具体的には、野菜をほとんど食べない人(1日に1皿未満)と、毎日5皿以上食べている人を比べると、前者の方が心理的苦痛を抱える可能性がなんと1.6倍も高いことが分かりました。野菜を多く食べることで、心の安定につながる可能性があるのです。
さらに興味深いのは、男女で少し違いが見られた点です。女性の場合、野菜を1日に5皿以上食べると心の健康に継続的なメリットが見られました。一方、男性は3〜4皿程度で効果が頭打ちになる傾向がありました。なぜ性別で差が出るのかは今後の研究課題ですが、いずれにしても「不足しないこと」が大切だと言えそうです。
では、どうして野菜や果物が心の健康に関係するのでしょうか。考えられる理由のひとつは、ビタミンやミネラル、抗酸化物質の存在です。これらは脳の炎症を抑えたり、神経の働きをスムーズにしたりする役割があります。また、食物繊維は腸内環境を整えますが、腸と脳は密接につながっており「腸内環境の改善=心の健康」にもつながる可能性が指摘されています。
忙しい毎日の中で、つい野菜不足になってしまうことも多いですが、サラダや蒸し野菜、果物をおやつ代わりにするなど、工夫次第で取り入れることができます。特に女性は意識的に5皿以上を目標に、男性でも最低3皿を目指すと良いでしょう。
「心の健康」と聞くと睡眠や運動、ストレス対策を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、毎日の食事も同じくらい大切です。野菜や果物をしっかり摂ることは、体だけでなく心の健康を支える投資でもあるのです。