植物ステロールの健康効果

植物に含まれる「フィトステロール」が、心臓病や糖尿病を防ぐ?

最近の研究で、野菜やナッツに含まれる「フィトステロール(植物ステロール)」という成分が、心臓病や2型糖尿病の予防に役立つ可能性があることがわかってきました。この研究成果は、今年の6月に米国で開催された学会で発表されたものです。

フィトステロールとは、植物に由来するステロール類で、動物性のコレステロールに類似した構造を持つ化合物です。私たちが日常的に食べている野菜、果物、ナッツ、全粒穀物などに多く含まれています。特に、アーモンド、くるみ、ピスタチオ、亜麻仁、玄米、オリーブオイルなどが豊富な供給源です。

ハーバード大学の研究チームは、アメリカで20万人以上を対象に最大36年間にわたり追跡したデータを分析。その結果、フィトステロールの摂取量が多い人ほど、心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中など)のリスクが約9%、2型糖尿病のリスクが約8%低いことが分かりました。

中でも「β-シトステロール」という成分は注目されており、腸内環境を改善し、炎症や代謝異常を抑える可能性があるとされています。また、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)の吸収を妨げる作用があり、血管の健康維持にも貢献することが期待されています。

ただし、この研究は観察研究であるため、「フィトステロールを摂ると確実に病気が予防できる」と言い切ることはできません。それでも、健康的な食生活の一部として、フィトステロールが果たす役割は注目に値します。

では、どうやってフィトステロールを日々の食事に取り入れれば良いのでしょうか?

ポイントは「植物性食品をバランスよく食べること」です。たとえば、

  • 朝食に全粒パンとアボカド
  • 間食にくるみやアーモンド
  • 夕食にオリーブオイルを使ったサラダ
    といった工夫で、自然とフィトステロールを摂取することができます。

サプリメントから1〜2gのフィトステロールを摂取する方法もありますが、まずは食材から無理なく取り入れることが理想的です。

「薬に頼る前に、食事で予防を」——そんな健康習慣を始めましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次