ホモシスティンとCOVID-19

血中ホモシスティン値とCOVID-19感染との関係についての報告が2022年3月にありました。この研究では、ホモシスティン値が高いほど、COVID-19感染患者の重症度が高くなる傾向が確認されています。

対象は、117名のCOVID-19患者と34名の健常者について調べています。その結果、健常者の血中ホモシスティン値は8.17(μmol/L)でしたが、COVID-19患者の中等症では12.7、重症患者では15.6と徐々に上昇する傾向がありました。著者らは血中ホモシスティン値とCOVID-19患者の重症度との間に何らかの関係があるのではないかと推測しています。

ホモシスティンとは、ビタミンB6,B12,葉酸の欠乏や不足によって上昇するアミノ酸の一種です。この値が高いと、動脈硬化や神経疾患が増えることから、悪玉アミノ酸などと呼ばれることもあります。牛肉などに多く含まれるメチオニンというアミノ酸の摂取量が増えることでも、ホモシスティンが増加することが知られています。

ホモシスティンそのものに酸化ストレスを助長する働きがあるために、身体にとってはありがたくない様々な症状が起きると考えられています。例えば動脈硬化の原因である血管内皮細胞の障害はホモシスティンによって起きるとされています。COVID-19感染の重症例ほど、ホモシスティン値が高い原因には、こうした背景があるのかもしれません。

欧米では心臓血管疾患が疑われる場合には、必ずと言っても良いほど調べられている検査項目が、このホモシスティンです。日本人の約20%にホモシスティン値が上がりやすい遺伝的素因を持つ人がいるとも言われています。しかし日本では、検診などでホモシスティンを測定している施設は極めて少ないのが現状です。生活習慣の欧米化に伴い日本人でも血中ホモシスティン値が上昇傾向にあると考えられますので、一度は血中ホモシスティン濃度の確認をすることをお勧めします。

目次
閉じる