地中海料理の効用

地中海料理を食べることによって、記憶力の維持や認知症の予防につながることが最新の研究によって明らかにされています。この研究では、平均年齢70歳の約500名を対象にして、日常食にどの程度地中海料理を取り入れているかを確認し、MRI検査結果と記憶力テストとの関係について調べています。

その結果、MRI画像にて確認できる脳の灰白質の大きさが、地中海料理を多く食べている群では、そうでない群と比較してより大きく維持されていました。また、アミロイドベータやタウタンパクといったアルツハイマー病の原因になる成分については、地中海料理を多く食べる群では、食べない群よりも、脊髄液中の濃度が少ない傾向がみられました。さらに記憶力テストでも、地中海料理を食べる群のほうが良好な成績を収めることが確認されました。

地中海料理が健康維持の上で良いということは、これまでにも数々のレポートがあります。同じ西洋料理を食べていても、米国よりもフランスやイタリアには、心臓血管疾患患者の割合が少ないことの理由にも、地中海料理の効用が指摘されています。

本研究はこれまでの研究よりも精度の高い検査方法を駆使して、地中海料理と脳機能との関係について調べた貴重なものです。地中海料理を多く食べることによって、脳細胞内の変性物質が減少し、脳細胞の萎縮を防ぎ、記憶力や認知機能も維持できる可能性が示唆されています。

地中海料理とはどのようなものを指すのでしょうか。一般的には、下図に示すように、野菜、果実、木ノ実、精製されていない穀類を中心に、タンパク源として魚、乳製品を時々摂取し、加工肉や哺乳類の肉類はごくたまに食べるというものです。日本人にとっては和食の内容と近いところもあり、比較的馴染みやすい内容ではないでしょうか。

20年ほど前、世界で一番健康に良い食事はどれかという議論があり、最後まで残ったのが、地中海料理と日本料理ということでした。日本料理は塩分が多いという理由で2位になったということでした。しかし、発酵食品の豊富さを考えると、私個人としては、日本食が世界で一番健康的な食事内容だと考えています。

地中海料理
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