鉄と健康 その2

前回は若年女性で多く見られる鉄不足についてお話しましたが、今回は反対に鉄過剰の弊害について述べます。閉経後の女性やほとんどの男性では鉄過剰になるリスクがあります。

鉄は酸素運搬や細胞のエネルギー産生に欠かすことのできないミネラルです。しかし、鉄が多すぎることは、身体内の酸化反応を促進してしまうリスクがあります。わかりやすくいうと、鉄過剰では体が錆びやすくなってしまいます。

鉄が過剰であるか否かを知るには、フェリチンの値を知る必要があります。フェリチンが低すぎることは鉄不足を意味しますが、反対に高値であることは鉄過剰を知る手がかりとなります。文献上は200 ng/ml以上になると、動脈硬化など身体にとってありがたくない状態が起きやすくなるとされています。

鉄分を多く含む食品の見分け方は、加熱すると赤色から茶色に変わるものです。肉やレバー、魚の血合いなどが代表です。近年の食生活の変化もあり、牛や豚などの赤身肉を多く食べる方ではフェリチンの値は高くなります。中でもレバーには鉄分が多く含まれますので、フェリチン値が高い人は避けなければならない食品です。

フェリチン値が高い場合の対処方法には二つあります。一つは鉄を含む食品を食べないようにすること。二つ目は献血をすることです。中世の医学には、瀉血療法というものがありました。王族や貴族など、美食が続いている人に起きる生活習慣病対策だったのでしょうか、瀉血をしている様子が記録されています。昔の人は瀉血をすることで、症状が楽になることを経験的に知っていたのかもしれません。

鉄は重要な働きをするミネラルですが、
多すぎるとかえって身体を壊してしまうものでもあります。適正値を維持できるよう管理したいものです。

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