記憶力を助ける10の方法

情報過多時代です。あれもこれもと忙しく動いていると、次々とやってくる些細な情報は記憶として残ることなく忘れ去られてしまいます。通常の記憶とは、車輪によってできる轍のようなものであり、何度も何度もくり返す脳へのインプットがあって初めて形成されるもののようです。このためくり返し頻度の低い情報では自然と記憶される確率も減ってしまいます。

人間の脳にはある一定の容量がありますので、不要な情報は新しくて必要な情報と交換していると割り切ったほうがよさそうです。その昔、湯川秀樹博士が、「人間は全ての情報を記憶する必要はない。必要な情報がどこにあるかを覚えておけばよい。」と語られています。どこの引き出しに何が入っているかさえ知っていれば日常生活で困ることはないわけです。

インターネットの普及により瑣末な知識はすべてネット上に漂っています。細かな情報はインターネットから吸い出す方法さえ知っていれば十分です。頭のなかをスッキリさせるためにも細かな物事は無理に記憶せずに消去してしまうことも選択肢です。

とはいっても、引き出しの内容を覚えておかなくては日常生活での不便もあります。必要最小限の記憶力を維持するための幾つかの方法についてまとめましたのでご参考にされてください。

1. 簡単な記憶方法を活用する
どうしても忘れてはいけない物事や人の名前は、幾つかの方法でくり返し脳にインプットすることが記憶の助けになります。メモに書く、声に出して言う、イメージ化するなどインプット方法に工夫を加えることも大切です。ポイントは繰り返しのインプットにあります。

2. 頭を使う
筋肉細胞と脳細胞のエネルギー代謝には数々の共通点があります。筋肉は使わないと萎えてしまいます、脳も使わなければ萎縮してしまいます。脳細胞を活用するためにも様々なことにチャレンジすることは大切です。「習うよりも慣れろ」と言われていますが、この言葉は若い人向けであり、年齢がいってからは、「慣れるよりも習え」、すなわちマンネリよりも新しいことへのチャレンジが必要です。

3. クリエイティブな生活
ゼロから1を生み出す能力は脳を最大限に使用するすばらしい活動です。著名な芸術家が高齢になるまで生産的であることは、クリエイティブな創作活動が極めて重要であることを示唆しています。右脳、左脳全体をフルに動かすことが創作活動の特徴です。絵画、音楽、料理、舞踊、スポーツ、なんでもよいので好きな分野での創作活動を行いましょう。

4. 静寂な時間を保つ
現代の喧騒はこれまでになく持続的かつ強烈なものがあります。マスコミから流される情報のなかに人生を豊かにするものはほとんどありません。むしろ心を苛むような悲惨な情報にあふれています。しばらくは喧騒を離れて静寂な時間に生きることが重要です。

5. 良質な睡眠を保つ
睡眠は脳のクリーニングタイムです。日中の活動で脳細胞には様々な老廃物が蓄積されます。これらの老廃物は脳細胞が活動している日中には効率的に排泄されません。十分な老廃物の排泄をするためには、脳を休めることが必要です。そのために良質な睡眠が欠かせません。熟睡できた朝の爽快感を思い出してください。良質な睡眠は脳細胞を認知症からも守ってくれます。

6. 過度なストレスを避ける
自責の念というものはある程度は必要ですが、過度になれば自傷の念ともなりかねません。ものごとをあまりにも厳しく捉えるとストレスが増大します。自分を責め過ぎずに緩めることも必要です。過度なストレスがかかると、コルチゾールと呼ばれるストレスホルモンが過剰に分泌され、様々な身体反応を引き起こします。脳にある海馬と呼ばれる記憶を司る細胞が死滅することも知られています。ストレスレベルをほどほどにすることが大切です。

7. 水を飲む
頭を冷やせ! 脳細胞は活動すると熱を産生します。他の臓器と異なり頭蓋内は温度が高くなりやすい部位であり文字通り冷やすことは重要です。水分摂取が不足し、わずか2%の脱水がおきても認知機能に障害が起きることが知られています。夏の暑さで集中力が持たないのも無理はありません。十分な水分補給は脳の機能を保つためにも重要な手段です。

8. 砂糖のとりすぎに注意
精製された砂糖類は代謝に必要なビタミンやミネラル類を含んでいないために脳細胞の機能を低下させてしまいます。砂糖類の摂取後には脳波が低周波の方向にシフトすることが確認されています。これでは集中力は維持できません。くれぐれも甘味はほどほどにしたいものです。

9. 定期的な身体運動
運動の効用は言うまでもありません。血流、リンパ流の改善効果、筋肉代謝によって生まれる乳酸が脳血流を増やすことも知られています。十分量の酸素を供給することもできます。神経細胞を新生させるBDNFという物質も運動によって増えることが確認されています。定期的に適度な運動を行うことは脳を守る働きがあります。

10. 適切な栄養素を補給する
脳は栄養素を最も必要とする臓器です。ブドウ糖やケトン体を主なエネルギー源としていますが、これらの栄養素を燃焼させるためには、様々なビタミンやミネラル、コエンザイムQ10などの抗酸化物質が必要です。良質なタンパク質は神経伝達物質を作るために欠かすことのできないものであり、魚脂に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)は脳細胞を作る重要な構成成分です。

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