魚と健康

魚が健康に良いことは日本人であれば、誰でも知っていることですが、どのような疾病の予防になるのでしょうか。

魚に含まれる栄養素といえば、エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)がよく知られています。これらはオメガ3脂肪酸に分類されます。オメガ3脂肪酸に心筋梗塞予防効果があることがわかったのは1960年代のことですから、まだ50年ほどしかたっていません。

グリーンランドの原住民、イヌイットとデンマーク人に起きる病気の種類の違いが疫学調査からわかったことが、オメガ3脂肪酸に注目が集まる始まりでした。この当時イヌイットの食事はアザラシの生肉でした。動物性脂肪たっぷりのアザラシの肉を食べていても、気管支喘息や心筋梗塞の発症率がデンマーク人と比較してイヌイットでは大幅に低かったことは、その当時では大きな謎でした。

そこでアザラシの肉を調べたところ、その中にはイワシやニシンに多く含まれるEPAやDHAが大量に含まれていました。この発見からEPAが血栓を作ることを予防する働きがあることが知られるようになりました。その結果、EPAは心筋梗塞予防の目的で摂取すべきという一般常識にまで広がったのです。

魚に含まれるEPAはオメガ3脂肪酸と呼ばれる、多価不飽和脂肪酸の一種ですが近年の研究ではEPAには炎症を抑制する働きがあることがわかってきました。炎症とは細胞が傷ついたときに起きる反応で、虫に刺された時の皮膚の変化を思い出すとわかりすいと思います。赤く腫れて、熱を持ち痛みを伴うのが炎症の特徴です。じつはアルツハイマー病の症状が始まる前の20年ほど前からこの炎症が脳細胞で起きていることも指摘されています。EPAにはこうした慢性の炎症を防ぐ力があるため、脳細胞の病的変化を防ぐのではないかと言われています。

さらにオメガ3脂肪酸には、うつ病患者の症状を軽くする働きもあることが報告されています。その理由もオメガ3脂肪酸の持つ抗炎症作用にあるのではないかと考えられています。

では魚ならばどれでもよいのかというと、現代は環境汚染の問題があり答えは簡単ではありません。アジ、サバ、イワシ、サンマなどの小型の青魚を食べることが最も効果的と言われています。健康を守るためにも積極的に魚料理を食べたいものです。

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