2型糖尿病の方は、血糖値だけでなく、心筋梗塞や脳卒中といった血管トラブルのリスクが高くなります。これは糖尿病によって血管のしなやかさが失われたり、血液が固まりやすくなったりするためです。
最近、この “血管の弱り” を防ぐ栄養素として「タウリン」が注目されています。
タウリンと聞くと、エナジードリンクに入っているイメージがあるかもしれません。しかし実は、体内でも働く重要なアミノ酸の一種で、特に血管や心臓の健康を支える役割を持っています。
2025年に発表された臨床試験では、2型糖尿病患者144名を対象に、1日2.4gのタウリンを12週間摂取してもらい、血圧や血管機能がどのように変化するかが検証されました。その結果、タウリンを摂取したグループでは、平均で収縮期血圧が7mmHg下がり、血管の柔軟性(内皮機能)が改善。さらに、血液が固まりやすくなる作用も抑えられたのです。一方、プラセボ(偽薬)群ではほとんど変化はありませんでした。
糖尿病で血管の機能が落ちる背景には、血小板の機能が障害され、カルシウムが血管内皮細胞に過剰に取り込まれることが関係します。タウリンは、このカルシウム流入を抑える働きがあることが分かってきました。
では、タウリンはどんな食べ物から摂れるのでしょうか?
実は、タウリンは魚介類にとても多く含まれています。特に牡蠣、ホタテ、イカ、タコ、サバ、などがおすすめです。「海の幸は血管の味方」と覚えておいても良いかもしれません。タウリンは加熱しても比較的壊れにくい成分なので、調理法も自由に楽しめます。
ただし、今回の研究で使われた量(2.4g/日)を毎日食事から摂るのは少し大変です。このため、必要に応じてサプリメントを利用する方法もあります。とはいえ、腎機能が良くない方や、多くの薬を内服している方は、自己判断せず主治医に相談すると安心です。
タウリンは古くから身近な栄養ですが、最新研究によって「糖尿病の血管を守る有望な成分」として再注目されています。血糖コントロールに加え、血圧や血液の状態を整えることも、糖尿病治療ではとても大切です。
毎日の食事に魚介類を取り入れつつ、必要に応じてタウリンを上手に活用していくことで、血管寿命を延ばし、将来の心血管イベントを減らす手助けになるかもしれません。









