ルテイン・ゼアキサンチンが脳を守る

「目の栄養素」が、いま“脳”でも注目される理由

ルテインとゼアキサンチンは、緑黄色野菜や卵黄に多く含まれる天然の色素(カロテノイド)です。長年、「目に良い栄養素」として知られてきました。実際、これらは目の奥にある黄斑部(おうはんぶ)に集中的に存在し、強い光やブルーライトを吸収して網膜を守る働きをしています。

さらに重要なのは、その抗酸化作用です。私たちの体は呼吸をするだけでも活性酸素を生み出します。加齢や紫外線、ストレス、慢性炎症などが加わると酸化ストレスは増加し、細胞の老化を進めます。目は特に酸化ストレスを受けやすい臓器であり、ルテインとゼアキサンチンはその防御に関わっていると考えられています。

ここまでは従来の話ですが、近年注目されているのは「脳」との関係です。

実はルテインは、ヒトの脳内にも存在する数少ないカロテノイドです。複数の研究で、血中や網膜中のルテイン濃度が高い人ほど、記憶力や情報処理速度、実行機能などが良好である傾向が最新の研究で報告されています。特に高齢者では、黄斑色素量(目のルテイン量)が多い人ほど認知機能が保たれているというデータもあります。

視力低下は認知症のリスク因子の一つとも言われています。視覚情報は脳への最大の入力経路であり、目の機能低下は脳への刺激の減少につながります。つまり、「目を守ること」は間接的に「脳を守ること」にもつながる可能性があるのです。

さらに現代社会では、スマートフォンやパソコンによるブルーライト曝露が日常的になっています。ブルーライトそのものが直ちに有害であるという単純な話ではありませんが、長時間の光刺激と酸化ストレスの増加は、目にも脳にも負担をかける可能性があります。その意味で、ルテインとゼアキサンチンは“スマホ時代の防御栄養素”とも言えるでしょう。

食品では、ケール、ほうれん草、ブロッコリー、とうもろこし、卵黄などに多く含まれます。脂溶性成分のため、オリーブオイルなど良質な油と一緒に摂ることで吸収が高まります。サプリメントとしては、一般的にルテイン10mg、ゼアキサンチン2mg程度が用いられています。

もちろん、これらが認知症を直接予防すると断言できる段階ではありません。しかし、抗酸化・抗炎症という基本的な作用、そして目と脳の両方に存在するという生理学的特徴を考えると、日々の食事の中で意識する価値は十分にある栄養素です。

「目だけでなく、脳も守る色素」。最近では、黄斑部のルテイン含有量を測定できるものも出てきました。ルテインとゼアキサンチンは、これからの健康長寿を支えるキーワードの一つかもしれません。

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