ビタミンD不足と白内障リスク

ビタミンDというと「骨を強くする栄養素」というイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし近年の研究では、免疫機能、炎症のコントロール、さらには老化の進行にも関わる重要なホルモン様物質であることが分かってきました。そして最新の研究では、目の病気である「白内障」との関連も注目されています。

英国眼科学雑誌に掲載された大規模研究では、約44万人のデータを解析した結果、血中ビタミンD濃度が低い人ほど白内障を発症しやすい傾向が確認されました。さらに長期間の追跡調査では、ビタミンDが重度に不足している人(10 ng/mL未満)は、不足が軽い人(20〜30 ng/mL)と比べて白内障の発症リスクが11%高いことが明らかになりました。

特に注目すべき点は、この関連が50歳未満の人でより強く現れたことです。若年〜中年期に重度のビタミンD不足がある場合、白内障のリスクは27%も高くなっていました。白内障は「年齢のせい」と思われがちですが、実際には生活習慣や栄養状態が将来の発症に影響している可能性が示唆されています。

では、なぜビタミンDが目の健康に関係するのでしょうか。白内障は、水晶体のタンパク質が酸化や炎症によって変性し、濁ることで起こります。ビタミンDには抗炎症作用や抗酸化ストレス作用、細胞保護作用があり、不足するとこうした防御機能が弱まり、水晶体のダメージが蓄積しやすくなると考えられています。

一般的にビタミンDが「十分」とされる血中濃度は30 ng/mL以上ですが、健康維持や抗加齢の観点では50〜80 ng/mL程度が望ましいとする専門家も少なくありません。現代人は屋内生活の増加や紫外線対策の影響でビタミンD不足になりやすく、日本でも潜在的な不足者が多いと指摘されています。

ビタミンDを保つためには、適度な日光浴が最も自然な方法です。加えて、サバやイワシなどの青魚、きのこ類を食事に取り入れることも有効です。血液検査で自分の値を確認し、必要に応じてサプリメントを活用することも選択肢の一つでしょう。

視力は一度低下すると完全に元へ戻すことが難しいものです。将来の目の健康を守るためには、症状が出てからではなく、日常の栄養状態を整えることが重要です。骨や免疫だけでなく、「目のアンチエイジング」という視点からも、ビタミンDを見直してみてはいかがでしょうか。

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