「自然を感じる生活」と心の健康

私たちは日々、忙しさに追われながら生活しています。スマートフォンやパソコンに囲まれ、気がつけば一日中、人工的な環境の中で過ごしている方も多いのではないでしょうか。

そんな現代人にとって、「自然を感じること」が心の健康に深く関係していることが、最新の研究で明らかになってきました。この研究では、日常生活や運動の中で自然をどれだけ“感じているか”が、メンタルヘルスと強く関連していることが示されました。この研究が興味深いのは、「自然がどれくらい近くにあるか」ではなく、本人が自然を意識して感じているかどうかに注目した点です。

たとえば、
・通勤途中で木々の緑に目を向ける
・鳥の声や風の音に気づく
・公園を歩くときに空や雲を眺める

こうした“ささやかな自然体験”が重要だと考えられました。

研究では、約350人の若い成人を対象に、
「日常生活の中で自然を感じているか」
「運動中に自然を感じているか」
を評価し、心の健康状態との関連を分析しました。

その結果、日常生活と運動の両方で自然を感じている人たちは、精神的健康度が明らかに高かったのです。どちらか一方だけでは十分ではなく、両方で自然を意識していることが大切である点が特徴でした。

自然には、私たちの脳を休ませる力があると考えられています。
緑や自然の景色を見ることで注意力が回復し、ストレス反応が和らぐことは、これまでの研究でも報告されてきました。さらに、自然の中で体を動かすことで、運動による効果と自然による癒しが相乗的に働く可能性があります。

重要なのは、「特別な場所に行くこと」ではありません。
遠くの森や山へ行かなくても、
・近所の並木道を意識して歩く
・ベランダから空を眺める
・昼休みに少し外へ出る

こうした小さな行動でも、自然を感じる機会は増やせます。都市部で生活していると、自然との距離を感じやすくなりますが、意識の向け方一つで心の環境は大きく変わるのです。

心の不調は、特別な出来事だけで起こるものではありません。
日々の積み重ねが、知らないうちに心の余裕を奪っていきます。
だからこそ、毎日の生活の中に「自然を感じる時間」を少し取り入れることは、心のセルフケアとして非常に有効といえるでしょう。

忙しい毎日の中で、ほんの数秒でも構いません。
空を見上げる、風を感じる、木の緑に目を向ける。
その小さな習慣が、あなたの心を静かに整えてくれるかもしれません。

Corentin Montiel et al, Is It the Walk or the Park? Exploring Associations Between Exposure to Nature in General and Through Physical Activity and Positive Mental Health in Young Adults in Canada, Journal of Physical Activity and Health (2025). DOI: 10.1123/jpah.2025-0349

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