園芸はひざに悪い?実は関節にやさしい可能性があるという研究結果
「年を取ると、園芸や庭仕事はひざを痛めるのでは?」
患者さんから、こうしたご質問をいただくことがあります。確かに、変形性関節症は加齢とともに増えるため、ひざに負担がかかる動作を心配されるのは自然なことです。
しかし最近、園芸や庭仕事は、ひざの変形性関節症に悪影響を与えないばかりか、むしろ良い影響を与える可能性があるという研究結果が報告されました。
この研究は、アメリカ・ベイラー医科大学の研究チームが、大規模な長期追跡データを用いて行ったものです。参加者が人生のどの時期に園芸を行っていたかを調べ、その後のひざの状態(レントゲン所見や痛み)と比較しました。
その結果、園芸を行っていた人では、ひざの痛みや関節の変化が少ない傾向が認められました。少なくとも、「園芸=ひざに悪い」という明確な証拠は見られなかったのです。
また、人は年齢とともに園芸を始めることが多く、一度始めると長く続ける傾向があることも分かりました。若い頃から園芸をしていた方は、年を重ねても無理のない範囲で続けているケースが多かったのです。
園芸は、しゃがむ・立つ・歩くといった動作を自然に含むため、「関節に負担がかかるのでは」と心配されがちです。しかし今回の研究結果は、適度な園芸活動が必ずしもひざを痛めるわけではなく、むしろ関節の健康維持に役立つ可能性を示しています。
園芸の良い点は、「無理のない運動」と「心のケア」が同時に得られることです。土に触れ、植物の成長を感じることは、ストレス軽減や気分の安定につながります。慢性的な痛みは心理的ストレスの影響を受けやすいため、心が整うこと自体が、痛みの軽減につながると考えられます。
もちろん、長時間の前かがみ姿勢や無理な作業は避け、痛みが出る場合は休憩を取ることが大切です。「頑張りすぎない園芸」を心がけることで、園芸は健康長寿の良い習慣になり得ます。
ひざが気になるからといって、好きな園芸をあきらめる必要はありません。体調に合わせて楽しむ園芸は、体と心の両面から健康を支えてくれる習慣といえるでしょう。









