高濃度ビタミンC点滴の効果とは

高濃度ビタミンCが膵臓がん患者の生存期間を延長する可能性

膵臓がんは進行が早く、5年後まで生存できる患者はごくわずかとされています。特に「膵管腺がん」と呼ばれるタイプは非常に治療が難しく、転移がある場合は予後が悪いことが知られています。しかし、最近の研究で「高濃度ビタミンC」の点滴が希望の光になるかもしれない、という報告がありました。

米国の研究では、転移性膵臓がんの患者36人を対象に、通常の抗がん剤治療に加えて高濃度ビタミンCの静脈点滴を併用することで生存期間が延びるかどうかを調べました。患者は2つのグループに分けられ、一方は従来の治療(ゲムシタビン+ナブ-パクリタキセル)を受け、もう一方はその治療に加えて週3回、1回75gの高濃度ビタミンCを点滴しました。

結果は驚くべきものでした。通常の治療のみを受けた患者の平均生存期間は8.3か月でしたが、高濃度ビタミンCを併用したグループでは16か月と、2倍近く延びていたのです。また、がんの進行を防ぐ期間(無増悪生存期間)も、通常治療のみでは3.9か月だったのに対し、ビタミンC併用では6.2か月と延長しました。

気になる副作用についても調べられましたが、高濃度ビタミンCを使っても生活の質(QOL)を損なうことはなく、副作用の頻度や重症度が増えることもなかったと報告されています。

研究者たちは「高濃度ビタミンCは、化学療法の効果を高める可能性がある」と期待を寄せています。実際、このビタミンCは血中濃度を急激に高めることでがん細胞に対して強い酸化ストレスを与え、選択的に攻撃する働きがあると考えられています。

もちろん、まだ規模の小さい試験であり、今後より大規模な臨床研究が必要です。しかし、副作用がほとんどなく、生活の質も維持できる治療法として注目されています。

膵臓がんは依然として難治性のがんですが、このような新しいアプローチが患者さんや家族にとって大きな希望となるかもしれません。当院でも高濃度ビタミンC点滴をおこなっております。

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