内臓脂肪はなぜ増える?

年をとると太りやすくなる」とよく言われますが、実は中年期になると、私たちの体の中で“新しい脂肪細胞”がどんどん作られていることが最新の研究で明らかになりました。

これまで、脂肪が増えるのは脂肪細胞が大きくなる(肥大)ことが主な原因と考えられていました。ところが、最近のマウスを使った研究で、中年期には脂肪細胞そのものが新しく作られる「アディポジェネシス(脂肪新生)」が活発になることが判明したのです。

特に注目すべきは「内臓脂肪」の増え方です。実験では、12ヶ月齢(人間でいう中年期)の雄マウスの内臓脂肪の8割以上が、新しく作られた脂肪細胞によるものでした。その結果、体重増加やエネルギー消費の低下、さらにはインスリン抵抗性(糖尿病の前段階)まで引き起こされていました。

このとき中心的な役割を果たしていたのが、「CP-A」と名づけられた新しい脂肪前駆細胞です。CP-Aは脂肪を作り出す能力が非常に高く、中年期に一気に増えることが確認されました。そしてその増殖をコントロールしているのが「LIFR」という受容体です。

さらに、このLIFRの働きを薬で抑えると、内臓脂肪の増加を防ぐことができたのです。これは、将来的に「中年太り」や「メタボリック症候群」を防ぐ新しい治療法につながる可能性を示しています。

この研究は、なぜ中年期になると太りやすく、病気にもなりやすくなるのかという疑問に対して、大きなヒントを与えてくれます。特に男性に顕著な傾向があることもわかっており、「年齢」「性別」「脂肪の部位」によって体の変化が異なることが科学的に証明されました。

健康的に年を重ねるためには、こうした体の変化を理解し、生活習慣を見直すことが大切です。中年期は「太りやすくなる時期」ではなく、「脂肪細胞が再び増え始める時期」と言えそうです。

内臓脂肪を増やさないための生活習慣 7選

1. 食事の質を見直す

  • 糖質(特に精製された白米・パン・お菓子)を控える
  • 食物繊維(野菜・海藻・きのこ)を意識的に摂取
  • 加工食品・トランス脂肪酸(マーガリン、揚げ菓子)を避ける

2. 食べるタイミングを整える

  • 夜遅い食事や間食を避け、「食べない時間」(空腹時間)を作る
  • 例えば「朝8時〜夜8時」の12時間以内に食事を終える「時間制限食」が有効

3. 定期的な有酸素運動

  • ウォーキング・ジョギング・自転車などを週150分以上目安に
  • 運動が脂肪分解を促進し、インスリン感受性も改善される

4. 筋トレで筋肉量を維持・増加

  • 筋肉は基礎代謝を高め、内臓脂肪の燃焼を助ける“脂肪の工場”
  • 特に中年以降は筋肉量が減りやすいため、週2〜3回の筋トレが推奨

5. 睡眠の質を改善する

  • 睡眠不足は食欲ホルモン(グレリン)を増加させ、内臓脂肪がつきやすくなる
  • 7時間以上の質のよい睡眠を意識

6. ストレス管理を行う

  • 慢性的なストレスは副腎皮質ホルモン「コルチゾール」の分泌を促し、内臓脂肪を蓄積させる
  • 深呼吸、瞑想、趣味の時間など、心の余白を意識的に作る

7. 定期的な体重・腹囲チェック

  • 「気づかないうちに太っていた」を防ぐため、週に1回は測定を
  • 腹囲の目安:男性85cm未満、女性90cm未満が推奨される基準(日本人)
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