ビタミンD不足と橈骨骨折

橈骨とは前腕の親指側にある骨で、高齢者が転倒し、手をついた際によく起きる骨折が、橈骨遠位端骨折、またの名をコールス骨折と呼びます。この骨折がどのような状態で起きやすいのかを調べたドイツの研究が、本日ご紹介する論文の内容です。

対象は2021年4月1日から2022年4月7日の間に、橈骨遠位端骨折の診断で手術を受けた患者102名です。年齢は46から91歳。男性17名、女性85名でした。このうち12名の患者は自己判断でビタミンDのサプリメントを服用しており、血中ビタミンD濃度の平均値は約40 ng/mL。7名の患者は医師のアドバイスに基づきビタミンDサプリメントを服用し、血中ビタミンD濃度は約29 ng/mLでした。しかしビタミンD補充を行っていなかった83名の血中ビタミンD濃度の平均値は19.8 ng/mLとあきらかに低値を示していました。血中ビタミンD濃度の推奨レベルは、40-80 ng/mLとされていますが、このレベルに入っていた患者は、自己判断でビタミンDサプリメントを服用していた約10%の患者だけでした。

一方全体の75%にあたる患者では骨粗鬆症の状態にありましたが、術前に診断を受けていたものは半分にも及びませんでした。これらの事実から著者らは、骨粗鬆症やこれに伴う骨折予防のためにも、ビタミンDの通年補充をする必要があると述べています。

医薬品としてのビタミンDの補充には、活性型ビタミンDを直接補う方法が一般的です。しかしこの方法では高カルシウム血症などの副作用が起きるリスクが高いこともあり、定期的な血液検査が必要となります。一方サプリメントによるビタミンD補充では、高カルシウム血症などの副作用の発現がほとんどありませんので、より安全な補充方法と言えます。

閉経後の女性に多く見られる骨粗鬆症を防ぐためにも、年に一度は血中ビタミンD濃度を調べることをお勧めします。

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