第22回 日本抗加齢医学会総会より

先週末は、日本抗加齢医学会総会が開催されました。本総会のテーマは、認知症やフレイルについてのものが多かったようです。満尾は一般口演の座長を務めております。一般口演とは10分間の枠で研究内容を発表するもので、1つのセッションに7演題が含まれます。

担当した演題の中から興味深いテーマをご紹介します。この研究は、東京大学老年内科の東先生らのグループによるもので、ビタミンK充足度とフレイルとの関係についてです。フレイルとは、筋力低下や歩行速度の低下など、加齢に伴って生じる老化現象の代表的なものであり、これを予防することが重要な課題となります。

本研究では、フレイルの原因としてビタミンKの充足度が関与しているという新しい視点に基づいて疫学調査を行なっています。ビタミンKには、緑黄色野菜から得られるK1と微生物によって作られるK2があります。納豆にはK2が多く含まれることが知られています。

対象は板橋区に在住する平均年齢約76歳の男女800名(男性90名、女性710名)を対象として、フレイル発症とビタミンKの充足度との関係について調べています。その結果、ビタミンKが低い群では、最も多い群と比較してフレイルになるリスクが2.3倍に増加していることがわかりました。これらの結果から、ビタミンKを充足させることは、フレイルを予防する一つの手段になると言えそうです。

ビタミンKは、血液凝固に関与する重要なビタミンであるほか、骨粗しょう症予防、動脈硬化予防、免疫力増強効果など、様々な健康増進作用があることが知られています。緑黄色野菜や納豆などの発酵食品類、ビタミンKを含む食生活に留意することが、ビタミンKを充足させる上で極めて重要です。

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