食べる時間と睡眠の質

健康管理の上で、食事の量と質は大切なものですが、いつ食べるのかも忘れてはならない重要な要素です。5年ほど前からこの領域の研究も盛んに行われるようになり、食事をする時間帯を8時間から10時間未満にすることが望ましいとされてきました。すなわち食事をしない時間を14から16時間作ることになります。具体的には夜8時に食事を取る場合には、次の日の午前10時までは食事を取らないことになります。しかしこれは、なかなか厳しい生活習慣かもしれません。

最近の研究では、これよりもやや緩い12時間という摂食時間でも、肥満、心臓血管疾患、脂肪肝の予防や睡眠の質の向上などに有効であることが報告されています。このパターンでは、夕食後12時間を絶食するという比較的取り組みやすいスケジュールになります。

摂食時間を制限したグループ(TRE群)としないグループとに分けて、食事と健康状態について比較検討した実験が行われています。その結果、同量のカロリーを摂取した場合、摂食時間を制限した方が体重増加が起こりにくいことが確認されています。さらにTRE群では、耐糖能の改善、血圧の低下、血中脂質データの改善がみられています。

さらに興味深いことに、摂食時間制限を行うと睡眠の質の改善も見られることがわかりました。これは体内時計と言われるサーカディアンリズム(概日リズム)が、より自然に機能するようになった結果と考えられています。

食事の量や頻度、そして食べるタイミングが睡眠の質に影響を与えていることは、意外と知られていません。今回の研究では、摂食時間を12時間以内に制限することによって、睡眠の質が改善し、その結果として生活の質の改善も認められました。摂食時間制限を行う習慣を少しずつでも増やすことは、健康管理の上で有益と言えそうです。

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