COVID-19: 抗体検査の結果 @ スペイン

COVID-19によるパンデミックは、日本国内ではやや収まっているように見えますが、世界的には、未だ収まる傾向すら見せていません。こうした中、スペインで行われていた大規模な抗体検査の結果が数日前、医学雑誌のThe Lancetに公開されました。

その結果は、スペイン全土で見ると、抗体陽性率は、約5%程度であったということです。抗体陽性率に男女差はなく、10歳未満の小児では3%程度と低い傾向が見られました。またマドリード周囲の都市部では10%以上と高値でしたが、反対に海岸部の地方では3%未満と低値でした。(下図参照)

https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)31483-5

この研究は、2020年4月27日から5月11日にかけて行われました。対象はスペイン全土を対象に無作為抽出で選ばれた、35883世帯の約51,000名です。これらの対象者の血液サンプルを、LFIA法による簡易検査キットとCLIA法による検査センターでの検査の2種類によって、抗体(IgG)の有無について調べています。

抗体検査については、検査結果の信頼性が一番重要になります。他の論文で明らかにされている内容に従えば、LFIA法による簡易検査では偽陽性である率が34%ほどあり、抗体陽性と診断されても実は陰性である確率が3割以上もあることになります。一方、CLIA法を用いた検査センターでの検査では、偽陽性の率は2%程度であり、かなり信頼性が高いとされています。(下図参照)

BMJ 2020;370:m2516

スペインで行われてた本研究では、LFIA法とCLIA法の二つの方法を採用しており、陽性の結果に対する信頼性はかなり高いものと考えて間違いありません。今回の結果からすると、都市部であっても、抗体の陽性率は10%ほどであり、集団免疫獲得のために最低限必要とされる60%に到達するためには、まだまだ時間がかかりそうです。

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