肥満とCOVID-19重症度

今朝の日経新聞には、COVID-19による死亡患者数(人口比)が欧州圏で多く、アジア圏で少ないという記事が掲載されていました。人口100万人あたりの死亡患者数のトップはベルギーで786名、イギリスは521名、フランスは429名、米国は282名となっています。一方アジア圏では、日本は6名、韓国は5名、中国は3名、インドは2名と、いずれも10名未満です。この極端な差がどこから生まれるのか、統計上の数字の信憑性など、諸説はありますが、まだ確固たる根拠は明示されていません。

こうした背景の中、肥満とCOVID-19との関連について調べた報告が、フランスから出てきました。高死亡率の国家は、先進諸国が多く、必然的に肥満の患者数も多くなります。この研究では、BMI(体重/身長の二乗)が30以上を肥満と定義して、フランスのリールリヨンの施設に入院したCOVID-19患者について、肥満とCOVID-19の重症度との関係について調べています。

リヨン大学病院に入院したCOVID-19患者340名について調べた結果、BMI30以上の肥満患者の割合は25%であり、一般的なフランス人の割合である15.3%よりも高い傾向がありました。さらに年齢や性別など他の危険因子を除外して計算すると、肥満患者ではCOVID-19により入院するリスクが、一般的なフランス人よりも1.35倍高くなっています。さらにICUでの管理が必要な重症化する例をみると、肥満者は通常体重者と比較して、1.89倍、ほぼ2倍近くとなっています。リールの病院ではこの比率はさらに高くなり3倍近くにもなっていました。(上図)

なぜ肥満患者でCOVID-19が重症化するかについてのコメントはありませんでした。しかし、内臓肥満があると全身の炎症反応が起きやすくなることは知られています。またベッドに臥床している態勢では、内臓脂肪により横隔膜が圧迫され呼吸機能が低下しやすいことなど、いくつかの原因が考えられます。

冒頭に述べた、欧州とアジア圏での死亡患者数の違いの原因の一つに、肥満者数の違いがあるかもしれません。
COVID-19 予防には、肥満の解消も必要だと考えます。

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