ビタミンDで筋肉温存

現代人にビタミン D が不足していることは広く知られていますが、ビタミン D が不足することで筋肉量や筋力にどのような影響があるのかはよく知られていませんでした。一方ビタミンDを補給するとアスリートのパフォーマンスが向上するということで、プロスポーツの世界ではビタミンDを摂取することがほぼ常識となりつつあります。

高齢者ではサルコペニアと呼ばれる筋肉量の減少が問題となりますが、これまでの研究では、短期間ビタミン Dを補給することで筋肉量が増えることは確認されていませんでした。しかし米国の研究機関からの報告では、長期間にわたるビタミン D 欠乏の状態では筋肉量が減少してしまうことが、動物実験によって確認されました。

長期間とは人間の寿命に換算すると10年から20年以上という長いスパンになります。 高齢者では、日光浴をしても皮膚で作られるビタミン D の量は若い時の半分以下に減少してしまいます。これはビタミン D の原料となるプロビタミン D という栄養素が、加齢により減少してしまうためです。

プロビタミン D はコレステロールから作られる成分ですので、コレステロールを下げる薬を服用している場合にも、血中のビタミンDが減少している可能性が高まります。 このため高齢者では積極的に食事やサプリメントによってビタミン D を補給する必要があります。

ビタミンDの供給源となる食品は、鮭や青魚です。干椎茸に含まれるビタミンD2は人間が必要としているビタミンD3とは構造的に異なるため、血液中のビタミンD濃度の上昇に繋がりません。サプリメントを選ぶ場合にもビタミンD3が含まれているものを選ぶようにしましょう。

服用量は、成人の場合、1日あたり2000~5000 IU (50~125 μg) が目安になります。できれば専門の医師の指導のもと、血中濃度をモニターしながら服用量を決めることが理想的です。筋肉量を維持するためにも、積極的にビタミン D の補給を行いましょう。

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