ビタミンBの話

今回からは、ビタミンBのお話です。

江戸わずらいという言葉をご存知でしょうか。江戸時代、参勤交代で地方から江戸に出てくるとなぜか体調を壊す侍が多かったようです。当初その原因は不明でしたが、後々の研究でこれはビタミンB不足による現象ではないかと考えられています。それは、江戸に出てくると、地方に住んでいる時には十分に食べることのできなかった白米を多く食べられるようになり、栄養のバランスが崩れてしまったことが原因とされています。

白米は玄米から糠の部分を取り去ったものです。糠には、白米にはほとんど含まれていないビタミンやミネラルが豊富に含まれており、ビタミンやミネラルの補給ができます。しかし、白米ばかりを食べるようになると、栄養バランスが崩れてしまうわけです。

江戸わずらいの原因が解明されたのは、明治維新から半世紀ほどたった明治の末期です。このため1904年から始まった日露戦争では多くの陸軍兵士がビタミンB不足のための脚気で命を落としたと言われています。1910年、東大農学部の鈴木梅太郎博士が米糠に含まれるビタミンB1を発見し、1912年オリザニンと命名し、ビタミン摂取の重要性が初めて理解されました。

実はこのビタミンB不足、遠い昔の他人事ではありません。ファストフードや加工食品、砂糖製品に依存した現代人にとっては、現在進行中の現象です。現代人の食生活では、ビタミンBを含む食品の摂取が減少しているだけでなく、必要以上に体から失われている場合もあります。ビタミンBには9種類が知られています。次回からは個別のビタミンBの働きについて述べます。

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