塩分を考えよう

世界で最も健康に良い食事は、地中海料理と言われています。えっ、和食ではないのと思われるかもしれませんが、和食は塩分量が多いという理由でトップになれなかったそうです。平均的な日本人が一日あたり摂取している塩分量は、10〜12g。欧米諸国が推奨している塩分摂取量の6gのほぼ倍近くになりますので、和食の評価が落ちたのも仕方がありません。

諸外国から見ると、日本人の塩分摂取量は多いということになるのでしょうが、平均寿命では諸外国に優ります。塩分制限は本当に健康に良いものなのでしょうか。高血圧や腎臓疾患がある場合は例外になりますが、過度な塩分制限はかえって健康を損ねることもあります。

塩分制限を行った臨床試験では、LDLコレステロールや中性脂肪が上昇したことが確認されています。別の研究では、わずか7日間の塩分制限によってインスリン抵抗性が上昇したことが報告されています。インスリン抵抗性が上昇すれば糖尿病のリスクが増えることになりますので、この意味では塩分制限は健康に良くないと言えます。

当院の患者様でも、極端な塩分制限をした結果、体調を崩された方がいらっしゃいます。検査では血液中のナトリウム濃度が基準値以下に低下しており、体のだるさや頭痛など典型的な低ナトリウム血症の症状がみられました。血圧の数値を気にするあまり塩分制限をしすぎてしまった結果です。

これから気温が高くなるにつれ汗をかく機会も増えてゆきます。当然体内からは塩分やマグネシウムなどのミネラルが失われやすくなります。適度な塩分補給は体調管理の上で極めて重要です。

塩分はどの程度補給すればよいのでしょうか。結論は、自分にあった塩分摂取を心がけることです。自分にあったという意味は、美味しさを感じることのできる適度な塩分量を自分で決めるということです。生野菜に少し塩を振ると美味しくなるように、自分の味覚を大切にすることが大切です。今ひとつの重要なポイントは、天然塩を摂取することです。天然塩には塩分以外の貴重なミネラルが多く含まれていますので、塩分補給には最も適したものです。適切な塩分補給で健康を維持しましょう。

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