抗加齢医学会のトピックス

先週末に開催された、日本抗加齢医学会も5500名を超える参加者によって盛会のうちに終わりました。今年の招待講演のテーマはケトン体とNAD ワールドでした。

ケトン体とは糖質摂取が減少した時に脂肪を分解して作り出される栄養素です。近年ケトン体の様々な働きが確認されてきており、ケトン体を含む栄養素を摂取することの重要性も議論されています。 今ひとつのNADワールドとは、2年前のNHKの放送で火がついた健康長寿を達成させる魔法の栄養素、”NMN”についての講演でした。NMNを使った人間での臨床試験も始まったようで、いよいよこれから出てくる結果が楽しみです。

次にホットな話題は、腸内細菌とヒトゲノム解析についてでした。分析機器の進歩によって、わずか1g未満の糞便でも腸内細菌の内容がわかる時代が到来しています。どの細菌が多いと大腸癌になりやすいのか、太りやすい体質なのか、腸内細菌と疾患との関係が解明されつつあります。すでに糞便移植術によってこれまで治療が困難であった疾患の治療も可能となっています。

ヒトゲノム解析とは、個人の持つ遺伝子解析をさします。かつては数千万円とも言われた解析費用が、数十万円で行える時代になり、今後は遺伝子の特殊性によって治療方針が決められる時代になるのかもしれません。すでに遺伝子情報を元に、AIを利用したワトソンというPCソフトの診断技術によって血液疾患の治療が始まっています。

今後の医療では、スパコンを利用したメガデータ解析技術の進歩によって、これまでは成し得なかった治療技術が生まれる可能性があります。 遺伝子解析を利用した栄養管理の方法をニュートリゲノミクスと呼びます。個人の体質にあった栄養管理ができる時代が近いのかもしれません。今後の研究成果が楽しみです。

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