免疫力によるがん治療

本庶佑先生がノーベル医学生理学賞を受賞されました。これまでの抗がん剤とは全く異なる作用機序の抗がん剤(オブジーボなど)の開発に繋がる基礎研究が評価されての受賞でした。すばらしいことです。

がん細胞はリンパ球の働きを抑制する物質を放出して、がん細胞自身がリンパ球に攻撃されることを防いでいます。人間社会に例えると、犯罪者が自分を捕まえにくる警察官に賄賂を贈り逃げおおせる様なものです。この意味でがん細胞は極めて巧妙な免疫システムを撹乱する能力を持っていると言えます。

本庶先生は、がん細胞がリンパ球の働きを弱める仕組みを解明し、それをブロックする方法を開発しました。この治療法を用いれば、リンパ球は本来の免疫機能を回復し、がん細胞を体内から除去することが可能になるわけです。

この研究の価値のあるところは、すでに臨床でも活用されていることです。以前は不治の病と言われた悪性黒色腫の治癒率が30%にまで上昇しただけでなく、一部の肺がんにも有効な治療となる可能性が指摘されています。 手術、放射線、抗がん剤、そして第4の治療法としての免疫療法が注目される時代が始まっています。

しかしこの免疫療法の抱える大きな課題もあります。それは高額な治療費がかかることです。1回あたり100万円以上の価格の点滴を繰り返し行うことになるからです。一体誰がこの治療費を負担するのでしょうか。次の世代への債務とすることだけは避けなければなりません。こうした課題が医学研究により解決されることを祈るばかりです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次