動脈硬化を防ぐには

動脈硬化とは、血管の壁が変質しその柔軟性を失ってしまう現象です。

その原因は「炎症」と呼ばれる細胞の障害が、血管の内膜で起きることから始まります。傷ついた血管内膜から炎症性細胞が血管の中膜に浸潤し、血管の中膜が肥厚してしまうことによって血管狭窄が生まれます。さらにこの部分から血栓が生まれると、その先への血流障害が起きるために細胞が死んでしまいます。これを梗塞と呼び、心筋梗塞や脳梗塞が一般的に知られています。

このように動脈硬化がもたらす病変には、高血圧、心筋梗塞、脳梗塞、解離性大動脈瘤など生命の危機に直結するものが多いため、積極的な予防が必要です。

上図は動脈硬化の年齢による変化をわかりやすく解説したものです。横軸は年齢を表します。20歳くらいまでは内面もキレイでで弾力性に富んだ血管が、年齢とともに徐々に変性し、ついには梗塞を起こす様子が描かれています。

動脈硬化は「炎症」で始まります。以前の医学ではコレステロールが高いことが動脈硬化の原因とされていましたが、現在ではコレステロール、とくにLDLコレステロール自体の濃度は以前ほど問題にされていません。動脈硬化を防ぐためには「炎症」を起こさないことが肝要です。

「炎症」を起こさないための生活習慣の基本は適切な食事です。

精製された穀類や砂糖類を少なめにすること。新鮮な野菜や良質なタンパク質を十分に取ることが大切です。 動物性脂肪は適量であれば問題ありませんが、塩分摂取が多い場合には動脈硬化の原因となるため注意が必要です。植物油に含まれる多価不飽和脂肪酸は、炎症促進物質であるアラキドン酸を増やすため取りすぎないようにしましょう。

食用油脂に含まれるトランス脂肪酸は、多く摂取すると血管内皮の炎症を起こしやすくすることが指摘されています。 血管を守る脂肪の仲間は、エゴマ、亜麻仁油、魚油に含まれるEPAやDHAなどのオメガ3脂肪酸です。魚油と大豆タンパクは血管の老化を防ぐと言われていますが、背景にはオメガ3脂肪酸と良質なタンパク質の働きがあります。 次回は動脈硬化の治療や予防効果がある、キレーション治療についてお話しします。

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