和食と教育・・・大塚貢先生

大塚貢先生は「給食で死ぬ!」というタイトルの書籍を出版されて、ご自身が体験された食事と教育との関係について述べられています。

今回の講演会で大塚先生が強調されたことは、学校給食の内容を変えたことで子供達の行動が大きく変わったということです。 公立中学校の校長として赴任した当初、その学校は大変に荒れていて、不登校、非行の数は数え切れないほど。校舎内をオートバイに乗った子供が走ったため、廊下にはバイクのブレーキ痕が残っていたそうです。赴任当初はタバコの吸殻も廊下に投げ捨てられていて、大塚先生自身が拾い集めたところ、あっという間にゴミ袋にいっぱいになるほどの分量であったそうです。

学校改革の第一歩として、大塚先生は子供達の家庭での食事内容に着目しました。ほとんどの子供達が肉類を中心とした西欧的な食事が中心であり、小魚や野菜類の摂取量が極端に少ないことがその特徴でした。大塚先生は周囲の反対を押し切り、給食の内容を大きく変更する行動に出ました。それまでは肉類が中心であった給食内容を、小魚や野菜類を中心とした和食の内容にしました。

その結果、子供達の行動が徐々に変わり始め、授業態度も改善、不登校や非行なども激減。さらに学力テストの平均点も全国レベルを上回るまでになったそうです。

いまひとつ大塚先生のお話しで興味深いことは、世間を騒がしている兇悪犯罪を起こしてしまう子供達の家庭についてです。多くのケースでは、犯罪を起こす子供達は貧困家庭ではなく、物品に恵まれた、富裕層の家庭の子供達であったということです。また共通する特徴として肉類を好む、いわゆる西欧的な食事が中心の子供達であったことも注目すべき点です。

食事が人間を育てる。人を良くすると書いて「食」という。極めて基本的なことですが、食生活の内容によって、子供達の性癖を変えてしまっているのは、我々大人の責任です。

肉食には鉄分やビタミンB12の補給といった大きなメリットもありますが、一方では健康にとってありがたくない物質が腸内で作られることも明らかにされています。また肉類からは、マグネシウムやカルシウムなどの十分なミネラルを補給することはできません。肉食中心の子供達が精神的に切れやすいということは容易に想像ができることです。

食育の重要性が指摘されてから、かなりの時間がたつと思いますが、給食の内容を見ると未だに肉食中心であり、和食のすばらしい栄養価を見過ごしているように思えてなりません。子供達の未来のためにも、どのような食事内容が適切であるかを我々大人たちが伝えてゆかねばならないと考えます。

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